弥生の塩﨑です。
「気が早い!」と怒られそうですが、個人事業主の方々の年度終了日12月31日まで、あと4か月を切りました。そして、所得税の確定申告書の受付期間の開始日2016年2月16日まで、あと5か月となりました。

今回は、「今だからこそできる節税対策」をいくつか紹介したいと思います。節税は、年が明けてからでは遅いです。有名な節税対策ばかりですが、今一度、ご確認いただければ幸いです。

年内に賢くお得に節税策

節税するため、事前にしておくこと
むやみやたらに節税商品を購入しても、お金が出ていく一方で、まったくメリットがありません。

節税を考える前に、現在どれだけの“儲け”があるのか、現金がどれだけ残っているのかを確認する必要があります。“儲け”が無いのに、いくらお金を使って節税をしたとしても、ムダになったり、事業のクビを絞めることになってしまうからです。

次に、現在から年末までの期間の“儲け”がどれだけ出るか考える必要があります。試算数値は、ざっくりした見込値でも問題ありませんが、まず計算してみましょう。

その後、帳簿を付けて分かった現在の“儲け”にこれからの期間の“儲け”加えて、年間の“儲け”を把握します。

更に1歩進むならば、年間の“儲け”から昨年の確定申告書の”所得控除額”欄の数値を差し引き、最大節税に利用できる“儲け=所得”がいくらになりそうか把握しておくことをオススメします。

節税対策の主な方法
節税対策の主たる方法は、「費用を増やす方法」と「所得控除を増やす方法」の2つです。


費用を増やす方法
「費用を増やす方法」で、何となくやってしまいそうなのが「年末は交際費を増やす」じゃないでしょうか。

(1) 交際費を使う
もし、交際費を増やした場合、次の図のように税金を減らせても、使える資金も減ってしまう可能性があります。もちろん、交際費を使って新たな取引先が増えるであれば、交際費を使った方が節税になります。仮に、交際費を使っても取引先が増える可能性が低いのであれば、交際費にお金を使うより、将来必要なものに資金を使った方がトク策かもしれませんね。

交際費おトク?

(2) 設備投資をする
「将来必要な設備投資」も1つの節税方法です。
青色申告・白色申告に関係なく、10万円未満のものであれば買ったときに「消耗品費」などとして経費にできます。さらに青色申告の場合は、30万円未満のものであれば年間300万円(開業年は月割り)まで全額を経費とすることが可能です。※
これらは、新品・中古に関係なく、また備品以外にも機械や工具なども対象です。

もし将来の設備投資を考えている方ならば、ぜひ年末までに購入してしまいましょう。
ボーナス商戦で安くなっている可能性もありますし、最新機器になると思いのほか作業もはかどり効率化できるかもしれませんね。

※ 租税特別法により2016年(平成28年)3月31日までの間に購入した資産が対象です。延長される可能性もありますので、専門家にご相談ください(2015年(平成27年)9月9日現在)


所得控除を増やす方法
所得控除を増やす方法の主なものは、次の3つです。


(1) 小規模企業共済制度
個人事業主が事業を廃止したとき、第一線を退いたときに、それまで積み立ててこられた掛金に応じた共済金を受け取れる制度です。途中解約をすることも可能です。

(2) 国民年金基金
国民年金に上乗せして、将来の年金を受け取ることができる制度です。途中で脱退することは、基本できません。

(3) 経営セーフティ共済
「取引先の倒産」といった不測の事態に迅速に資金を借り入れ出来る制度です。途中解約をすることも可能です。


多くの税理士がおすすめする方法
上記3つのうち、税理士さんが講師の事業者向けセミナーで多く税理士がオススメするものは、「小規模企業共済制度」です。

個人事業主は自分や家族に対して退職金を支払うことができません。この「小規模企業共済制度」は、将来の退職金を積み立てる事のできる制度です。払った金額は、全額所得控除して“儲け”から引くことができます。掛け金は、月額1,000円から7万円まで選べ、年末に1年分を一括払いして所得控除にするということが可能ですし、掛け金を増額したり、減額したりすることも可能です。
将来、事業を廃業等したときに受け取る共済金は、一括で受け取ると退職金として扱い、分割で受け取ると公的年金として扱います。どちらも、個人事業主の事業所得よりも税金面で優遇されているため、おトクなのです。


「小規模企業共済制度」でも注意したいのは、契約期間が短いと元本割れが発生すること。最低でも240カ月(20年間)掛け金の支払いを行っていないと元本が割れてしまいます。これから小規模企業共済制度を利用する場合は、契約期間がどのくらいになるか検討して、加入の有無を考えましょう。

なお、経営セーフティ共済も中途解約ができますが、こちらは40カ月(3年4か月間)掛け金の支払いを行っていないと元本が割れてしまいますのでご注意ください。


前納をうまく利用する
小規模企業共済制度でも記載しましたが、上記3つは、1年分先に払う前納という支払い方もできます。利益があるとき、お金があるときに1年分支払えば、その時の所得控除に丸々上乗せできるのです。これ以外に前納できるものとしては、国民年金。国民年金は2年分の前納ができます。資金との兼ね合いで選択のできる節税方法ですね。


まとめ
節税とはいえ、資金を使うことには変わりありません。まずは、時間があるときに帳簿をまとめて現状をしっかり見つめ、年内にできることがないかを考えてみましょう。確定申告時に1日、2日帳簿付けに時間を使わないようにすることも、実は節税につながるのかもしれませんね。


参考:そのほかの節税策は、スモビバ!の節税タブで検索できます。よかったらご覧ください。