先日公開した、「2015年春、岩手県陸前高田市 事業者インタビュー 復興の今」、ムービーでは一部しかご紹介できなかったので、このブログで、事業者の方々にお聞きした想いを、紹介していきたいと思います。
トップバッターは、結design代表 黒田征太郎さんです。
NPO 法人 ETIC.の右腕派遣を利用して、2012年の8月ごろから陸前高田の未来商店街に来ました。両親が地元の商店街の中で薬局を営んでいたんです。自分の周りにも商店街が当たり前のようにあって、両親が忙しい時は、隣のおじさんとか、おばさんが面倒をみてくれました。そんな環境が日常にありましたね。商店街が衰退して元気が無くなっているのは、全国共通のテーマですし、自分の故郷もそうだったので、商店街と聞いて、何とか力になれないかなって考えたのが、未来商店街を選んだ一番の理由でしたね。
最近は、陸前高田の街並みが変わっていくように、皆さんの気持ちも時間がたつにつれて変わってきているんだなぁって感じます。まだまだこれからの状況ですけれども、震災後の1年目2年目は、いい意味でも悪い意味でも皆さん忙しくて、自分の事を考えるだけで一杯一杯の感じでしたが、3年目に入ったころから、それぞれが出来る事とかやらなければならない事とかが整理されてきて、「みんなで一緒にやろうよ」って感じになってきましたね。
最初は自分で走っている感じもあったんですが、僕は外からきた人だからその立ち位置で、地元の人は地元の人の立ち位置で、みんなで一緒に手を取り合って、走り始めたような感じが、3年目に入ったころから感じます。それは大きな変化かなって思いますね。
未来商店街で2年ちょっと仕事をしてきたときに、自分の中でもっと役に立ちたいなぁって気持ちが大きくなって、「もっと色々学ばないといけない」とか「成長しなければならない」って思ったんです。そんな中、漠然と中小企業診断士を取りたいなぁって…。
資格を取りたいっていうわけではないんですが、お金の部分や経営の部分、戦略の部分で、僕が勉強することで、みなさんと二人三脚でさらに深いお付き合いが出来るんじゃないかなぁって思ったんですよ。日本の9割以上は中小企業の人たちなので、寄り添っていくのも大切だなって。そういった人たちって独自性を持っていることって多いじゃないですか。商品であったり技術であったり。それって、やっぱり無くしてはいけないものだと思うし、今まで中小企業の人たちと関わってきたので、そういった人たちを元気にしていきたい。チャレンジすることが、「お世話になった陸前高田の人たちへの恩返しになるのではないかなぁ」って思っています。この2年間ありがたい経験をさせてもらっているので、それを自分にも陸前高田にも還元できるように頑張っていきたいですね。
この2年、人であるとか産業であるとか環境であるとか、陸前高田の良さを身を以て感じることが出来たんですよね。逆に、足りないものや、改善したいと思える部分もあるんですよ。元々あるものを大切にしながら、陸前高田に新しい価値を生みたいですね。陸前高田の人が望むような形もあると思うんですが、僕みたいに外から来て関わることになると、新しい価値をもたらしていくことも大事なんじゃないかなぁと思っています。それが、サービスであるのか商品であるのか分からないですが、陸前高田で作って、外に発信して、陸前高田に外貨を持ってきてこの地域の経済を回して行けるような、そういう循環する仕組みを作れるような事をしてきたいですね。
陸前高田は、若者が挑戦できる、そして自分の存在意義を見いだせる場所だと思います。みなさん自分の仕事が忙しくても、僕のような人を応援してくれます。人の温かさを感じる町です。「これやりたい」「あれやりたい」「こうしたい」って提案をしても、まずは「やってみろ」ってチャレンジさせてもらえる。もちろん失敗したら反省して、再チャレンジって感じになるんですけど、若い人材が本当に必要としてもらえるような町です。
そういった環境だから、僕らのような若い人がモチベーションをもって頑張れるんじゃないかなって思います。そんな町なんだと思います。